介護福祉士と看護師の違い
まず、介護福祉士と看護師で大きく異なるのが、担っている目的や役割です。介護福祉士は、主に日常生活のサポートを担う「福祉職」になります。そのため、利用者の生活における維持・向上を目的としています。
一方の看護師は、主に療養という視点から利用者の世話と診察の補助業務を担う「医療職」です。そのため、利用者の健康回復を目的としています。
福祉職と医療職においては、どちらが上の立場という関係性ではありません。双方がその専門性を発揮しながら連携していくものです。
資格における違い
介護福祉士、看護師はいずれも国家資格という共通点があります。しかし、異なる職種になるため、当然のことながら資格の取得方法については違います。
- ■ 介護福祉士の資格
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介護福祉士の資格は、社会福祉士および介護福祉士法によって定められた介護・福祉分野の国家資格です。
介護職として現場で3年以上(実務日数540日以上)の実務を経験したうえで、実務者研修を修了することで、受験資格を得ることができます。この実務経験を具体的に説明すると、介護施設や医療機関等で介護職として働いた実績のことを指します。勤務形態には特に規定がないため、正社員はもちろんのこと、派遣やパートとして働いている場合でも実務経験として認められます。
また、養成施設や福祉科、介護福祉科のある高校を卒業することで受験資格を得ることもできます。福祉系高校の卒業によって資格取得を目指す場合に限っては、筆記試験のみではなく、技術講習の受講、または実技試験を受験する必要があります。
- ■ 看護師の資格
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看護師の資格は、保険助産師看護師法によって定められた医療分野の国家資格です。
文部科学大臣、厚生労働大臣の指定した大学や3年制短大の看護系学科、看護師養成課程のある専門学校等の学校を卒業することで受験資格を得られます。また、准看護師の資格を持っていれば、3年以上実務を経験するか、高校卒業後2年過程の再教育を受けることによって受験資格が得られます。
仕事内容における違い
介護福祉士と看護師では仕事内容においても異なります。
- ■ 介護福祉士の仕事内容
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介護福祉士の仕事は、「利用者が自分らしく生活できるようにサポートすること」です。冒頭でもお伝えした通り、生活の維持・向上を目的としています。具体的には、食事・着替え・排せつ・入浴などに加え、介護度の高い利用者に対しては、体位交換もおこないます。常に利用者のことを気にかけながら業務を進めていく必要があるので、日頃からコミュニケーションをとり、利用者はもちろんのこと、その家族とも深い信頼関係を築くことがポイントとなります。そのため、日常的に利用者とかかわる時間は、看護師よりも多いでしょう。ただし、医療に関する専門知識や資格がないので、「喀痰吸引・経管栄養」等の一部の医療的ケアを除いては、基本的に医療行為をおこなうことはできません。
- ■ 看護師の仕事内容
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看護師は、服薬・薬剤の管理や血圧、体温、脈の測定をおこないます。また、注射や点滴、採血といった治療補助、食事やお風呂といった身のまわりの世話等、主に利用者の療養上の世話や診療補助をおこないます。看護師がおこなう医療行為は、専門的な知識および資格を必要としますので、医師や看護師にしかできません。また、看護師は介護士の仕事をすることが許されています。看護師の資格を取得する過程において、介護に必要な知識も学ぶからです。
いかがでしたでしょうか。ここまで介護福祉士と看護師の違いについて見てきました。介護福祉士を目指しているのであれば、看護師との違いを明確に知っておく必要があります。ここで紹介した内容を職業選択の参考にしてみてはいかがでしょうか。